まちづくり 視察研修 松代観光 地域活性化

「歴史まちづくり法」の適用による松代のまちづくりを展望2008年12月24日

このたび「新都市」という雑誌の12月号に
「遊学城下町松代歴史と文化を活かしたまちづくり」
と題して松代のまちづくりの展望を書かせていただきました。
その中で「歴史まちづくり法」に関連する提言をした部分を
抜粋してご案内いたします。

「歴史まちづくり法」の適用による松代のまちづくりを展望

                  NPO法人夢空間松代のまちと心を育てる会

行政や住民による松代のまちづくりは大きく進展し、全国的に行われた平成の大合併で周辺部となった地域の振興をどのようにしていったらよいのか、松代にモデルを求める市町村が増え、全国各地からの視察が増えてきている。しかしながら、松代においても少子高齢化が進行し、今後のまちづくりの課題も多い。そこで松代が現在抱えているまちづくりの課題を整理し「歴史まちづくり法」の松代の適用を視野に入れながらその課題にいかに取り組んでいったらよいか整理してみたい。
歴史遺産の集積
松代は地域全体が歴史的遺産の集積地であり個別の文化財保存を考えるだけでなく、地域全体の保全をトータルに考え、その上で個別の保存対策を考える必要がある。その意味でも今年11月に施行された「歴史まちづくり法」は松代にとって願ってもない新たな法律である。
①歴史的建造物の保全と活用
松代町内にある江戸から昭和にかけての保存したい歴史的建造物も、所有者の高齢化や無人化によって保全をするのが難しくなってきている。歴史的建造物の悉皆調査を早急に行い、その現状を把握して残すべき歴史的建造物の保全活用策を立てたい。そのためにも松代全体を歴史的風致地域として歴史まちづくり法を松代に適用し、総合的なビジョンを立てた上で、個々の歴史的建造物の保全活用を図りたい。歴史的建造物の活用も街並み環境整備事業などの国の補助事業を活用して整備すると今まで物販が出来なかったり、営業的な取り組みが出来ないなどの制約があったが歴史まちづくり法の適用によって制約も緩やかになり活用の幅も広がっていくと思われる。松代では武家屋敷の山寺常山邸、樋口邸、前島邸などの整備が図られているが、観光客にとっても、地元住民にとっても、どこも同じような活用では魅力に欠けてしまう。食事処や喫茶空間、ギャラリー、ふるさと偉人館、体験工房、お土産や地場産品販売、武家屋敷体験宿泊所、観光客や地元の人々のふれあい交流空間などの民間活力の活用によって多様な活用がなされていけば松代の魅力は飛躍的に増していく。今後保存整備活用が予測される金箱邸、酒井邸、真田勘解由邸、大草邸、八田邸、松下邸等を民間活力も導入しながら魅力ある整備を図っていきたいものだ。
②増えてきている空き家の現状調査を行なって、有効活用のために田舎暮らしを志向する都市部の人々に貸し出したりする仕組みを構築する必要がある。
③地割、町割の保全
松代は江戸時代の絵地図を片手に迷わず歩けるほど、江戸時代の道路網や、地割、町割が今日によく伝わっている。特に武家屋敷地域だった地区においては伝統的な環境がよく保全されている。現在では4町が長野市伝統環境保全地区指定されているが、国の重要伝統的建造物郡保存地区指定も視野に入れて、更なる保全を図りたいところだ。
④泉水路の保全と復元
松代には江戸時代に整備された水路網が今日まで良く伝わっている。個人の庭の池から次のお宅の池につながる水路網(泉水路)は2008年4箇所が国の登録記念物として登録され貴重な文化遺産として再認識されている。しかしながら上流地域の農業に伴う農薬使用や、下水道未整備等による水質の悪化、水量不足、池の管理(泥あげなど)が行き届かないなどの理由で、池を潰したりして水路網が途中で切れてしまう事例も増えてきている。現状調査をした上で、里山保全や井戸掘りなどによる水質の向上、水量確保等の対策を講じた上で泉水路や泉水の復元を図りたい。
⑤里山の保全と活用
松代は三方が山に囲まれ、北には千曲川が流れていて、自然が豊かな地域である。周辺の里山においても高齢化が進み、農地も休耕されたりして荒地が増えつつある。しかしながら清野、西条、豊栄、東条、寺尾各地区は古代からの歴史がある地域であり、歴史的文化財も豊富にある。再度歴史的文化遺産を再調査し、歴史遺産を保全して活用していく方策を立てたい。エコツーリズム、グリーンツーリズムなどへの関心が高まる中、松代の里山も多いに活用を進めたい。トレッキングコースの整備やゆるやかな里山歩きコースの整備や里山歩きツアー、収穫体験ツアー等の定着化を図ることによって、里山の魅力を高め、松代全体の中で里山の価値を高める取り組みがほしい。
⑥道路の真ん中にある川の復元
江戸時代の絵師が描いた松代の町内絵図を見ると川が道路の真ん中を通っている。時代とともに川は道脇に寄せられていった。現在松代の裏柴町に道路のほぼ真ん中に川が流れている地域がある。この水路はすでにコンクリートブロックで整備されていているが、石積みの水路に復元することによって情緒あふれる水路によみがえり、地域の人々の散歩コースとしても心いやされ、観光客にも喜ばれるまち歩き人気スポットになるであろう。
⑦松代城の楼閣復元
松代城は日本100名城の一つに数えられている国史跡である。文化庁の補助によって太鼓門などの復元整備が図られてきた。もともと天守閣はなかったようであるが、楼閣は絵図などで確認されている。写真や設計図が出てこないと復元は難しいと言われているが、町のシンボルとして楼閣が欲しい。
⑧真田宝物館の建て替え
真田家の宝物を保存し公開する長野市真田宝物館も老朽化し、建て替えが計画されている。真田宝物館は松代全体を博物館として捉える「松代まるごと博物館構想」からすると中枢の博物館である。松代周辺部の里山や、武家屋敷、町屋、寺町ゾーンにある歴史的遺産をサテライトの拠点として町全体を博物館とみなすことで町全体の活性化を目指している。歴史まちづくり法の適応によって真田宝物館を建て直し、松代まるごと博物館の中枢センターとしての機能を持たせたい。
⑨電線の地中化
松代は歴史的文化遺産が集積し、街並み環境整備事業で街並みも整備されてきて映画のロケ地としても活用されるようになってきている。しかしながらせっかく整ってきた街並みも電線が張り巡らされて情緒を壊している場所も多い。そこで、歴史まちづくり法の適用により歴史的街並みの人気スポットの電線地中化を図りたい。
⑩住民参加のまち歩きガイド養成
真田宝物館を松代まるごとミュージアムのコアセンターとして確立させて、周辺に配置したサテライトミュージアムとをつなぐ「発見の小径」を整備し、まち歩きを促進して町の回遊性を高め賑わいを創出していくために住民参加のまち歩きガイドを養成したい。町内数か所にまち歩きガイドの拠点を配置し町民みんなが学芸員となって松代のまちを紹介し、松代のファンづくりをしリピーターを増やし地域を活性化させたい。
以上の提言をさせていただきました。
ソフト事業の提言とともに少しでも具体化できることを願っています。
長野市へ松代のまちづくりソフト事業の提言 2008年12月21日

今後の松代のまちづくりを進めていく上でどのようなソフト事業を展開していけば
松代の活性化につながるだろうかとの長野市行政担当者との懇談の中で過日
下記のような提案をさせていただきました。

2、松代のまちづくりソフト事業提案
NPO法人夢空間松代のまちと心を育てる会

1、庭園や水路を活かしたまちづくり(庭園都市松代)
①庭園、泉水泉水路保存公開
庭園、泉水、泉水路所有者の組織化
浄化システム構築、庭園・水路管理地域支援システムの構築、
 ②親水性事業の推進
  流し雛、鯉の泳ぐまちづくり他
1、歴史的建造物、空き家対策悉皆調査及び支援
  松代の歴史的建造物の調査による保存対策並びに国の登録文化財推進
  空き家調査による都市住民の二地域居住、移住促進、空き家支援
1、まち歩き促進よる市街地の活性化事業
  観光客の回遊性を促進による地域の活性化推進
  まち歩きガイドセンターの設置
  街角観光情報センターの設置(協力店舗にて)
  まち歩きガイドの養成
  まち歩きマップの作成
  まち歩き案内標識の整備研究(矢印等次のところへ行く案内等)
1、里山の資源を生かした周辺地活性化推進
  東条、西条、豊栄、清野、寺尾各地区の里山の資源を活かしたエコツーリズム  の推進による周辺地域の活性化、里歩きルート開発、収穫体験他
1、学術、芸術学会・松代学の構築
  松代学の構築、講座、シンポジームの継続的開催、
1、人物を活かしたまちづくり推進交流事業の推進
  関係地域の交流、シンポジュウム、サミット開催
  真田氏・佐久間象山・松井須磨子他
1、 大学、学校との協働したまちづくり研究所の推進
  大学と協働したまちづくり研究所の設置運営と
  地域の小中高校生のまちづくりへの参加促進、
  大学の学生による地域資源調査のための研究合宿、
1、旧町名復活の推進
  旧町名・路地名復活研究
  旧町名・路地名案内板整備

いずれもNPO夢空間で地道に取り組んできましたが
今後行政とタイアップして町全体で取り組んでいきたいものです

まちなかへの回遊性を高めるために 2008年09月07日

東北の旅で宮城の明治村と言われている宮城県登米町に行ってきました。
宮城の明治村をキャッチフレーズにして今売り出し中の観光地です。
この町の事は数年前に東京へ行く新幹線の座席の前に置いてある
トランベールで初めて知りました。
歴史的建造物を保存活用している町としてしっかり印象付けられていました。
遠方でありなかなか行く機会がありませんでしたが秋田に行く用事ができたので帰りに
東北道を南下して途中から登米町まで足を延ばしてみました。
6つほどの明治時代の歴史的建造物を保存活用して町の回遊性を高め
観光地としての体制を整えていました。
すでに多くの観光客を集め今後さらに伸びていく町となるでしょう。
松代のまちづくりにとって一番参考になったのは、
町を回遊するために中心部に観光物産館と駐車場の配置し6つの拠点を回遊して
歩く仕組みができていたことでした。
松代の場合松代城周辺と象山地下壕の2か所集中の状態で
まだ町の中を回遊する仕組みが不十分です。
早期に町の回遊を高める仕組みの確立をしたいものです。
現在NPO夢空間では市街地への回遊性を高めるための取り組みにを主眼を置いて

取り組んでいます。
登米町

長野市におけるポスト2010松代観光事業推進体制についての考察
1、松代観光推進の経緯
(1)第一期松代イヤー第一期2004松代イヤーキャンペーンにおいては、松代における「歴史的文化財を使って護る」を合言葉に、遊学城下町信州松代・エコール・ド・まつしろのキャッチフレーズが定着し、生涯学習を通じての交流観光を全国に先駆けていち早く提起した。文化財(歴史的建造物)を活用した観光キャンペーンであったために、松代城から真田邸、文武学校、象山神社、山寺常山邸、(象山地下壕)に向けての西側南北ラインの観光振興が中心であった。歴道や文化財、景観などのインフラ整備も西側南北ラインに集中した。観光課松代分室を設置して市職員を数名配置し、市あげて松代観光振興に取り組み観光客20万を80万人に押し上げるなど大きな成果をあげた。
(2)第二期松代イヤー第二期2010松代イヤーキャンペーンにおいては松代における地域資源(歴史的遺産・文化・自然等)を丸ごと活用し、西側南北ラインだけではなくて町人文化を含めた東西ライン、さらには周辺里山ゾーンを活用した総合的な松代観光の可能性を提起した。また、歴道や景観整備も西側東西ラインから東側東西ラインへと進展し、前島邸の9月オープンによって東側への観光客の誘導をどうするかが大きな課題になってきている。
2、観光事業の全国的な動向国が観光事業推進方策を打ち出してインバウンドを奨励し、全国各自治体がこぞって観光事業の推進を行っているため、地域間競争が激化してきている。特に2014年度開業予定の新幹線の金沢までの延長によって長野市が通過観光になる可能性が大きい。こうした地域間競争激化の中で、長野市の滞在型観光を推進し経済効果を上げていくには、長野市内に善光寺とセットした強力な観光地の振興を図る必要性が今まで以上に出てきている。一方、松代の町並みや歴史的な文化遺産や自然環境、周辺里山の魅力においては訪れる観光客に高い評価を得てきており、全国的に見ても5キロ四方に歴史的文化的遺産が集積した地域はまれである。首都圏や関西の観光事業者も松代に高い関心を持ってきているが、今日の観光事業者の求めている着地型観光の推進においても、松代はNPO夢空間および松代文化財ボランテアイの会による地域資源の発掘や、エコール・ド・まつしろ倶楽部等におけるおもてなし活動が活発化してきており、体験型・着地型観光のプログラムを企画立案する条件が揃っている。長野市の滞在型観光推進のために、善光寺とのセットにより、松代を重点的に整備し売り出していく必要性がますます高まっている。
3、現状の観光事業の推進体制松代観光推進のために長野市観光コンベンションビューローが松代観光案内所を開設し、外来客の案内窓口となって一定の成果を挙げてきている。しかしながら、長野市全域の観光振興の中での松代の売り込みであるため、周辺自治体の売り込みと比較しても松代の露出度は薄れ、観光事業者への全国的な売り込みにおいては、地域間競争において周辺他地区に遅れをとり、松代の豊富な地域資源や住民のボランタリーな取り組みが埋もれてしまいがちである。エコールドまつしろ倶楽部、NPO夢空間、文化財ボランテイアの会などの住民のボランタリーな取り組みの連携を強化して活かし、それを行政や地域が支えていく体制が必要である。
4、ポスト2010松代観光事業推進に向けて長野市の滞在型観光推進のための重点地域として松代観光を推進していくためには今まで以上に長野市行政と住民とが一体化して取り組んでいく必要性がある。そこで「松代まち歩きセンター」の設置を始めとする以下の整備が不可欠である。
(1)松代の東側の観光振興を図っていくために、暦道沿いにまち歩きのための拠点、「松代まち歩きセンター」の設置
(2)中心部に位置した観光駐車場の整備(伊勢町周辺)、
(3)東側まち歩き観光客用公衆トイレの整備(東側歴道沿い周辺)、
(a)松代まち歩きセンターの設置歴道が整備され、前島邸のオープン、金箱邸の整備が進展していくことによって、松代の回遊性を高めるためのインフラ整備が必要となっている。そのために歴道沿いの中間地点である、八田金物店跡を松代観光の中心拠点として整備することによって回遊性が高まり、松代全体のバランスある観光振興に寄与するものと思われる.
(b)まち歩きセンターの役割寄ってみたくなる、寄らなければならなくなるセンターにするため、次のような業務を手掛ける。
・松代まち歩き情報の提供相談・まち歩きガイドブックの販売・映像による松代のまち歩きルートの紹介・まち歩きガイドの紹介・トイレの提供(車椅子利用可)・手荷物預かりロッカーの設置・電動自転車の貸し出し(有料・500円を想定)・車椅子の貸し出し
・お休み処の設置初年度は無料提供のお茶とするが、次年度以降、まちづくり団体の協力を得て厨房の整備と保健所の営業許可を取得することによってコーヒーや軽食等が有料で出せる体制を整える。※全国150か所に広がっている住民参加型コミュニテイレストランでは日替わりワンデイシェフの仕組みを取り入れているところが多い。(例上田市柳町)
・お土産の斡旋(町内土産のサンプル紹介)及び委託販売・特産物の販売(催事にあわせた農村部生産団体等による産直市など)
(c)運営体制・2010年この拠点は松代イヤーに合わせて設置し、初年度は松代イヤー実行委員会が管理責任者となり、NPO夢空間が運営主体となって各種ボランテイア団体の協力を得て推進する。・2010以降ポスト松代イヤーにおいてはNPO夢空間松代事務局とエコール・ド・まつしろ倶楽部事務局とが運営責任者となって、地元ボランテイア団体の協力を得て共同で運営を図っていく。松代まち歩きセンターの基本的な役割はスタッフが担うがそれに伴う付随したものは協力ボランテイを募集して市民参加での運営を図る。
(4)長野市観光課松代分室の復活松代観光推進のためには日常的に松代を全国に売り込むための組織体制と現地に配置する専従スタッフが必要である。2004松代イヤーにおいても平成14年11月から平成17年3月まで長野市観光課松代分室を設置して職員を3名配置し強力に松代観光推進を図り実績を残している。官民一体の松代観光推進の為にも長野市観光課松代分室を復活させてスタッフの常設配置を求めたい。
(5)松代観光推進機構(仮称)松代の観光事業を一体的に推進する推進母体(観光まちづくりプラットホーム)を再構築する。長野市観光課・ながの観光コンベンションビューロー、松代地区住民自治協議会、商工会議所、松代観光事業振興会、観光事業者・飲食店・菓子店・土産店・各種ショップ・企業、NPO夢空間、エコール・ド・まつしろ倶楽部、松代文化財ボランテイアの会、各種ボランテイア団体、個人を結集した組織を再構築する。

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信州松代は古代から近代までの文化遺産が5キロ四方の地域にぎっしり詰まっている地域です。
特に真田幸村の兄真田信之が徳川幕府の命により、上田から松代に移封され、松代藩の初代藩主となって以来250年間、真田十万石の城下町として、真田氏が十代にわたって統治したため、真田氏伝統文化が今日まで色濃く残る町です。
昭和41年に長野市に合併して以来、長野市の中に埋没し、せっかくの文化遺産を活かすことができませんでしたが、平成5年に高速道長野インターが松代地籍に開通して以来、住民によるまちづくりが活発化し、行政の後押しを得て観光の町松代としてもクローズアップされてきました。
NPO夢空間では松代全体をまるごと博物館ととらえて、地域に潜在している文化遺産を一つ一つ堀り起こして光を当てて、磨きあげ全国に発信しています。このHPではNPO夢空間の活動内容についてご紹介しています。

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